2月21日

お久しぶりの日記になりました。しんたろうです。

一応、元気に過ごしています。

最近はマサシの生活にもだいぶん馴れてきました。

ほぼ毎日の雨と停電に悩まされている以外は結構イイ感じな所です。

日課は毎朝のお散歩です。散歩と言うか、住んでいるマサシインから

現場までの4km弱の道をぷらぷら歩くだけなんですが、、、

朝は町に向かう多くの村人達とすれ違います。

村に住む人たちの大半は町に買出しや商売に行ってるみたいです。

多くのひとが村で作った野菜や果物、鶏などを携え町を目指します。

約4km歩く間におよそ200人以上の人たちと顔を合わせ、

挨拶をし、たまには立ち止まって話をしたりするのがとても楽しく、

結局出発して現場に到着するのが1時間半後。

まぁ、何と言っても私は外国人、かなり目立っているらしく

色んな人から声を掛けられます。

ほとんどがスワヒリ語なんで何て言っているか判らず、

半分以上が勝手に自分で推測している状態ですが、

たぶん「どこに行っているんだ??」 とか

「仕事をくれ。」だとか様々。

でも基本的にマサシの人たちはとても友好的で明るく

話し好きな人が多いみたいです。

タンザニアに来て1ヶ月と1週間、マサシに来てちょうど1ヶ月、

スワヒリ語での挨拶や簡単な単語はマスター(?)、

あとは色んな動詞やフレーズを覚えないと。

実際に仕事をしていて思うのが英語を喋れる現地人が少ない事、

特に作業員に関しては0%。簡単な仕事の指示ぐらいはスワヒリ語で

出来ないと一々通訳してもらっていては埒が明かない。 

はやくマスターしなくては!!


話は変わりますが、先週現場のベースキャンプの造成工事を

している最中の現地採用でうちの社員からの電話があり、

問題発生至急現場に来てくれ~

と言うので現場に急行。着いてみると社員のジョセフや

下請けの作業員のみならず野次馬の現地人たち総勢50名ほどが

道でたむろしていました。

どうした~~~とワクワクしながら近づくとジョセフが悲痛な声で

「蜂に襲われた~~」と状況を説明し始めました。

ブルド-ザーで現場内にあるカシューナッツの木を倒している最中に

大量の蜂に襲われ、その場にて作業していた全員蜂に刺されたそうで、

特にブルの運転手は蜂に囲まれ逃げきれず10箇所以上刺されて、

みんな命からがら逃げてきたとの事でした。

こっちの人は大体大げさなんで話半分聞いて、

とりあえず現場に置き去りのブルドーザーを見に行くことになり、

みんな恐る恐る付いていましたが、途中で居なくなり遠くで自分を

指差し何か大声で叫んでました。

「あの命知らずの日本人は大丈夫か??蜂に刺されるぞ!!」

と野次馬たちが言ってたそうです。

ブルの近くまで行ってみると蜂はすでに居らず数匹のミツバチが

あたりを飛んでいただけでした。

ブルの近くのカシューナッツの木を見ると大きな枝の分かれ目に

ミツバチが出入りしているくぼみがありました。

みんなの所に戻って状況を説明すると役所に行って相談する事になり

社員のジョセフ、運転手のシャバーニと共に農業担当の役所に行き

相談するとハニーハンターを紹介してくれました。

マサシで数少ないハニーハンターが住む近くの村まで彼を車で

迎えに行き、彼は現場に着くや否やおもむろにレース生地のカーテンを

バックから取り出し自分の頭全体に巻き始めその上に帽子を被り、

炎天下にも拘わらず厚手のズボンを2枚、ダウンジャケットらしき

ジャンパーを2枚重ね着し、最後に皮製の巨大な手袋を装着しました。

日本の養蜂家がつける網付きの帽子ではなくレース生地の隙間から

キョロキョロと見るそうです。

彼はさらに道具袋からビニールに入った自家製の蜂殺しの練り薬と

ミネラルウォーターのペットボトルに入った灯油を取り出し、

右手の親指を立て、「準備万端だ~!」みたいなスワヒリ語を

発していました。

しかし完全装備なハニーハンターもさすがに暑いらしく

フラフラとした足取りで巣に向かっていました。

彼は果敢にもハシゴをドンと幹にかけ、薬を片手に駆け上がりましたが、

一旦は落ち着いていた蜂たちも刺激され直ぐに興奮状態に。

無論、蜂の大軍のターゲットは見た目にかなり怪しく、

片手には彼が一生懸命に家で練ってきた薬を持ったハニーハンターのみ。

レース生地から垣間見る数百の怒り狂う蜂たちの姿が彼の目に

どの様に見えたかは想像も付きませんが、彼は先ずハシゴから転げ落ち、

視覚を失った彼は木にぶつかりようやくカーテンレースを脱ぎ捨てた彼は

ハンターユニフォームを脱ぎながら地平線へと走り去りました。

その日の彼はハンターではなく、逆にハントされる立場でした。

ハンターが居なくなり途方に暮れていた自分達に野次馬のなかの一人が

「俺が処理してやる!」という奴が声を掛けてきました。 

彼が言うには、蜂は夜になると大人しくなるから、夜間に巣を退治する

との事でした。

彼と夜9時に待ち合わせの約束をし、マサシインに戻り夕食後しばらくして

現場に向いました。

街灯なんか無いので夜になると外は真っ暗です。

正直、夜は怖くて出歩けません。

実際、盗賊集団や泥棒も夜間に活動するみたいなので安全じゃないそうです。

現場に行くとすでに彼は手下の2名と一緒に昼間のハニーハンター同様

完全防備状態で自分達を待っていました。

たいまつを片手に蜂の巣まで行くと昼間のハンターと違いハシゴを

静かに上がり薬剤を巣に挿入後、大量の灯油を巣のみならず

木全体にかけ火を付けました。

するとたちまち大きな炎が木を包み、キャンプファイヤー状態に。

火事になるんじゃないかと心配し、大丈夫なのかと聞くと

「OK!OK!」との返事。どうみても大丈夫に見えないんだけど。

木の根ほうからも枯れ枝を集め火を焚き始めました。

30分ぐらいしっかり木を焼いた彼らは満足気に「もう大丈夫だ!」

と終了宣言。

火遊びを堪能した我らは意気揚々と帰路に着きました。

翌日現場に行ってみると、昨日の哀れな木は真っ黒焦げでした。

木を倒され、表土を剥がされたベースキャンプの予定地をみると

仕事と言えども、木を切り、環境を破壊しながら道を作る事はいいだろか?

とふっと疑問に思いました。

倒された多くのカシューナッツの木も長い月日を経て大木となり、

そして毎年できる実は人たちの貴重な収入源や食料となり、

大きく手を広げたような枝々には厚手のエメラルドグリーンの葉が

びっしりと生え、それが木陰をつくり、そこで休憩する人たちを

タンザニアの刺すような日差しから守り癒しを与えていたはず。

そんな木を切ってまでも作る道やから、少しでも多くの人たちに

感謝されるような仕事をしなくちゃと思いました。